
あなたは、他の人からジェンダーバイアス(性的偏見)を受けたことはありますか?
某人気キャラクターをデザインした商品の発売が中止になったとして話題になりました。
商品の一部に描かれた文言が、「ジェンダーバイアスを助長する」との批判が多く出ていたようです。
「ジェンダーバイアス」とは、“男らしさ”や“女らしさ”など男女の役割について固定的な観念を持つことで、近年ではこのようなジェンダーバイアスをなくそうという動きが強まっています。
今回は、全国の20代以下~60代以上の男女100名ずつ、計500名を対象に「ジェンダーバイアス(性的偏見)」に関するアンケートを実施しました。
調査手法 | インターネットでのアンケート ※自社運営のアンケートサイト「ボイスノート」を利用して調査を実施 |
調査対象者 | 男女 |
調査期間 | 2022年1月25日~2月1日 | 質問内容 |
質問1:あなたは、他の人からジェンダーバイアス(性的偏見)を受けたことはありますか? 質問2:具体的にどのようなことを言われましたか? 質問3:他人にジェンダーバイアス(性的偏見)と受け取られる発言をしたことはありますか? 質問4:具体的にどのようなことを言いましたか? 質問5:あなたのジェンダーバイアス(性的偏見)に関する考え方に近いのはどれですか? 質問6:回答の理由を教えてください。 質問7:“過去の作品”に対しても、ジェンダーバイアスに関して配慮した対応は、今後必要になると思いますか? 質問8:どのような対応が必要だと思うか教えてください。 |
集計対象人数 | 500名(20代以下・30代・40代・50代・60代以上の各年代100名ずつ) |
※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合があります。
40.8%が、他の人からジェンダーバイアス(性的偏見)を受けたことが「ある」
他人からジェンダーバイアス(性的偏見)と受け取れるような発言をされたことがあるかについて聞きました。
「言われたことはない」は59.2%で、その他の40.8%の方は他の人からジェンダーバイアス(性的偏見)を受けたことがあるようです。
その中で最も多かったのは、「異性・同性両方に言われた」で25.0%でした。
具体的にどのようなことを言われたかについても聞きました。
具体的にどのようなことを言われたか
- 「女の子なんだから髪をそんなに短くしない方がいいと思う」など。(20代・女性)
- 「もっと女子らしく」「女でタバコ吸うのはありえない」(20代・女性)
- 「なよなよしてる」とか「女っぽい」とか言われた。(60代・男性)
- 「女なら仕事しながら家事育児を全部こなせて当たり前」と言われたり、「女は仕事ができない」と言われた。(40代・女性)
- 両親から「勉強のできる女は生意気でかわいくない」「女がメガネをかけるのはみっともない」など。(40代・女性)
- 「女なんだから、きちんと化粧して爪も手入れしたら」といわれた。(50代・女性)
- 「家事や料理は女がやれ」的なこと。女性は年配、男性は若い人に言われた。(40代・女性)
- 「男なら少々のいじめにいちいち反応するな」(70代・男性)
- 器械、電機、工具など、「男なら使えて当然」と男性からも女性からも言われたことがある。(60代・男性)
- 過去に事務職を経験したことがあると伝えたときに「男なのに?」と言われた。(40代・男性)
- ジェットコースターが苦手で乗るのを拒否したら「男なのに意気地がない」と詰られた。(60代・男性)
- 母親から、「女の子は勉強ができない方がいい、知っていることも知らないふりをしなさい」とよく言われました。(50代・女性)
- 「大学には一人しか行かせられないから女のお前ではなく弟に行かせる」(50代・女性)
- 「男だから汚い」、「男だから使えない」、「男だから性的なことばかり考えている」など。(40代・男性)
- 「女だから」と料理や裁縫の強要、洋服の好みなどを押し付けられた。料理や裁縫は男女共に出来た方が良いスキルの一つではあるが、他人に強要されるものでもないと思う。(40代・女性)
- 子供のころに、「女の子なんだからもう少しおしとやかにしなさい」と言われた。(20代・女性)
- 若いときに、「女性はクリスマスケーキと同じ」と異性から言われた。(25日過ぎれば、価格が下がる=25歳から値打ちが下がる)(50代・女性)
- 「若い女が飲み物を注いだ方が喜ばれるから」と、父親から無理矢理お茶を注ぐ役をやらされたことがあった。(30代・女性)
- 「子供を産まないと一人前ではない」(50代・女性)
- 「女だからスカートを履きたくないというのは変だ」(20代・女性)
- 「女なんだから大人しくしておいた方が可愛がられるぞ」と飲みの先で見ず知らずのおじさんに言われた。(40代・女性)
- 「男が泣くのは恥ずかしい。」「男なのにぬいぐるみを集めるのはおかしい。」(40代・男性)
- 職場での会食の際、鍋料理だったのですが、女性の上司から「男性に鍋の最後を食べさせるものじゃない」と言われ、鍋に少量残っていたものを食べさせられました。大変不快でした。(50代・女性)
- 田舎だったから、「女は結婚したら仕事を辞めて家のことをする」とか、「女は子どもを産め」とか、「でしゃばるな」とか当たり前に言う年寄りや年配の人ばかりいたからよく聞いていた。(30代・女性)
- 「男なんだから、力仕事を率先しろ」と言われた。(30代・男性)
- 「男だったら女より稼いで当然」と祖母から言われたことがある。(30代・男性)
- 「男子が台所に入るなんて情け無い」と言われた。(50代・男性)
では、反対に他人にジェンダーバイアス(性的偏見)と受け取られる発言をしたことがあるかについて聞きました。
71.6%の方が「言ったことはない」と回答しました。
一方で、その他の28.4%の方は他の人にジェンダーバイアス(性的偏見)と受け取られる発言をしたことがあるようです。
その中で最も多かったのは「異性に言った」で、12.2%でした。
こちらも具体的にどのようなことを言ったかについて聞きました。
具体的にどのようなことを言ったか
- 「男なのに筋肉ないね」と言った。(40代・女性)
- 「男なんだからしっかりとして」と旦那に言った事がある。(40代・女性)
- 「男のくせに少女マンガ読んでる」とか。(50代・男性)
- 男友達が別れた彼女のことをいつまでも愚痴っていたので「男のくせに女々しい」みたいなことを言った。(40代・女性)
- 息子に「それは女の子が買うおもちゃだよ」と言った事があります。(30代・女性)
- 子供につい「女の子だから食事の用意手伝いなさい」とか「男らしくしなさい」とか言ってしまう。(40代・女性)
- 子供が小さい頃に「男が泣くのはみっともない」といったことがある。(50代・男性)
- ケチくさい息子に「男はそんな事言わないの!」といった。(70代・女性)
- 男性に対して強い不信感を抱いていた時期に、「世の中の犯罪のほとんどは男性がするものだから、彼らがいなくなればいいのに」と友達に言ってしまい、気まずい雰囲気になったことがある。(30代・女性)
- 「女なのに部屋が汚い」と言った事があります。(50代・男性)
- 「女は黙っていろ」と言ったことがあります。(70代・男性)
- 「女性なら花の一つくらいいけれないか。」(40代・男性)
- 娘に「女の子なんだから〇〇しなさい」としょっちゅう言っています。私が娘に対して性的偏見を持っているとかではなく、世間がまだまだ男女平等ではないので、女子教育はしておかないと、社会に出てから苦労すると思ってのことです。(50代・女性)
- 職場の部下に対してノルマが達成できなかった時、「男ならば最後まで歯を食いしばって目標を達成しろ」と、強く厳しく咤しました。何度もありました。(70代・男性)
- 「女は体で稼げるからいいよな~」と言った事がある。(30代・男性)
- 「男だから頑張れ」「男が泣くな」「女は愛嬌」などは言ったことがある。(40代・男性)
- 「男だからしっかりしろ」という類の発言は色々な人にしたと思うが当時問題ではなかったし、特に問題だとも思わない。(40代・男性)
自分の子供に言ったことがあるという方が多いようです。
「昔はそのくらいのことは普通に言っていた」「激励や発破をかけるつもりで言った」という方もいました。
また、「言ったことはあると思うが覚えていない」という意見も複数あり、無意識に言ってしまっている方も多いのかもしれません。
続いて、ジェンダーバイアス(性的偏見)に関する考え方について聞きました。
「特に気にすることはない」という方が35.0%で最も多いようです。
また、「ある程度は仕方がない」と感じている方は34.6%、「なくしていくべき」は30.4%でした。
どの回答も同じくらいの割合になりましたが、それぞれの理由について聞きました。
「なくしていくべき」回答理由
- ジェンダー・バイアスに縛られて本人の可能性が狭まるのはよくないことだと思うので。(20代・男性)
- 自分は男とか女とか関係ないのに、と幼少期から今も思ってきたので、いまだにずいぶんと生きづらいから。(40代・女性)
- LGBTQの人だけじゃなく、誰に対しても平等であるべきだと思うから。(20代・女性)
- 性の違いがあるのは事実だが、それに価値観があてはめられることはおかしい。(60代・男性)
- そういった言葉によって傷ついたり不利な立場になる人がいるのであればなくしていくのが好ましい。(30代・女性)
- 今まで傷ついてきた人がいるのだから、やはりやめていくべきだと思う。(90代・女性)
- いい加減時代に合った考え方に変えていかなければならないと思うから。(40代・男性)
- 共働きでも家事育児は女性の仕事、女は男をたてるべきという意識が続いていく一因になっていると思うから。(40代・女性)
- すぐには難しいが、それを目指していかないと偏見はなくならない。(50代・男性)
- ないほうが傷つかないから。(30代・男性)
- 平等な観点からなくしていくべきだと思います。ジェンダー平等は、SDGs17の目標の一つでもあるからです。(70代・男性)
「ある程度は仕方がない」回答理由
- 完全に世の中から差別が無くなるわけがないと思ってます。自分はなるべく気をつけたいと思ってますが気をつけない人もいるので難しいと思います。(40代・女性)
- みんなそれぞれの考え方があるし、自分自身も他人には言わないが、頭の中で、女の子なのにこういう性格してるんだ、とか考えてしまうことがあるから。(10代・男性)
- ジェンダーに違和感のある本人は差別されない方が好ましいが、性別での違いは何かしらあるので、全てを統一することはできないと思う。(30代・女性)
- 価値観もそれぞれなので無理に矯正していく必要はないと思う。それはもちろん違う誰かに自分の価値観を強要しないという意味でもあるが。(20代・女性)
- どの様な事が偏見と思われるのかよく判らない。何でもかんでも偏見やハラスメントと言いすぎる気がする。(70代・男性)
- どうしたって性差はあるのだから仕方ない。差別的な意味合いだけなくせばいいと思う。(30代・女性)
- 言い過ぎも良くないし、気にして何にも言えなくなってきている今の世の中も好きではないから。(40代・女性)
- いろいろな考えの人間がいるので、仕方ない。(50代・男性)
- 女性だけが生理があって出産可能など、男女が全く同一の事が出来るとは限らないし、自分自身でも、内心、それぞれの性に対しての理想はあるので、ある程度は仕方ないと思います。ただ、思っている事をむやみに口に出したり、特に相手を不快にさせるような事は無くしていくべきだと思います。(50代・女性)
- 娘には女の子らしくして欲しいと思ってしまうから。(30代・女性)
- そもそも性別が違うので、全く同じということにはならないと思う。相手とは違うことがあることを認めつつ相手を尊重するのがよいのではないかと。(40代・男性)
- 性差は確かに存在するものであり、ないものとして捉えるのは無理があるから、不快に思われない発言なら許容されても良いと思う。(30代・女性)
- 多様性は認めるべきで、それは間違いないが、それについていけない人たちもいる。その「多様性」もある程度は認めるべき。「多様性を認めろ」と声高にいう人ほど自分と違う意見に対しては極端に排他的になる。(50代・男性)
- 今のジェンダー論は平等を考えて言っているのではなくて、片側の陣営の人間が自分たちに有利になるように誘導しているだけだと思っているから。(40代・男性)
「特に気にすることはない」回答理由
- あまり深く考えない方が良いと思う。人それぞれ考え方や価値観が違うと思うから。(40代・男性)
- それぞれ個性があるのは当然で、周りがいろいろ言う事ではないと思うし、特に気にすることはない。(30代・男性)
- こういったことが問題になることが問題。都合のいい時だけ使う人が多い印象がある。(40代・男性)
- あまりにも気にし過ぎだと思う。(60代・男性)
- 今の世の中何をしても批判の対象になりそう。皆がもっとおおらかな気持ちでいたらこの様な問題はおきない。(60代・男性)
- いろいろな考え方があって当たり前、そんなこと統制できるはずがない。こうあるべき論が最近極端すぎます。(50代・男性)
- いちいち気にするほどではない、気にするから余計に言われたりする。(70代・男性)
- 性差はあって当たり前なのに偏見だの何だの必要以上に神経質になっていると思うから。(40代・女性)
- ジェンダーバイアス自体が、被害妄想的な、社会を分断する危険性をはらんでいる。悪意のないものまで
、神経をとがらせて追及すべきではないと考える。(60代・男性) - 男は男、女は女で何が悪いのか!偏見と云うより違いはあって当たり前。ない方が気持ち悪い。(70代・男性)
- 現在51歳ですが、今までの経験の中で特に気になることを言われたことがないので。(50代・女性)
- こだわってしまうと自分もそれにとらわれてしまうと思うので、ジェンダー関係なく自分個人にとっていやかどうかをいえるようになればいいだけで、個々の考えをこうであるべきと押し付けるのはそれも問題だと思う。(50代・女性)
- 性的偏見とは、見方を変えれば性的区別ともいえる。男らしく、女らしくということば、人によっては性的偏見と感じる人もいるだろうけど、逆にそういう男女の違いを意識させる言葉や行動がなくなったら、それは極論、性別を無くすことと同義だと思うから。「女らしくてかわいいね」なら許せるのに「もっと女らしくしろよ」と言われれると、嫌悪感を感じるのは性的偏見が原因じゃなくて、悪口なのかどうかの違い。とどのつまり性的偏見とはそれほど大きな問題ではなく、相手に対する暴言かどうかの問題だから、性的偏見などそれほど意識する必要はない。(40代・男性)
- ジェンダーに関することを大きな声で発言すること自体何か違うような気がする。個人個人が自分軸で生きていけば良いだけだと思うから。(50代・女性)
「自分自身が生きづらさを感じている」という方がいる一方で、「今まで特に気になることを言われたことがない」という方もいました。
身近な問題と感じているかどうかで、ジェンダーバイアス(性的偏見)に関する考え方は異なるようです。
71.6%が、“過去の作品”についてはジェンダーバイアスに関して配慮した対応が「不要」だと感じている
今回は、過去のキャラクターのグッズ化が問題となりましたが、昔(特に昭和以前)の作品ではジェンダーバイアスのかかっていることが当たり前の社会が描かれている場合も多くあります。
今後は“過去の作品”に対しても、ジェンダーバイアスに関して配慮した対応が必要になると思うかについて聞きました。
71.6%と多くの方が「思わない」と回答しました。
過去の作品についてはジェンダーバイアスに関して配慮した対応が不要だと感じている方が多いようです。
一方で、28.4%の方は過去の作品にも配慮が必要だと「思う」と回答していました。
過去の作品については、どのような対応が必要だと感じているのでしょうか。
どのような対応が必要だと思うか
- あまりに差別される発言のあるテレビ番組やDVDなどは、あらかじめ注意書きをするなど、配慮がほしい。(30代・女性)
- そう言う世の中になったのだからみんなが変わらないといけないと思う。(70代・男性)
- ここは当時の価値観ではこうなっているが現代は違うという旨をテロップで解説する。(40代・男性)
- ジェンダーバイアスになりそうな部分の表現などをなるべくぼかして、ほかのことをフォーカスするなど。(20代・女性)
- スカートめくりや、着替えののぞき、男児が女性教師に性的な接触をすることを、良しとするような風潮を生むから。(40代・女性)
- 気になる人達に意見を聞いて、取り入れるのが大事なのかなと思いました。(30代・女性)
- 以前はこのような考え方であったが、今ではこう考えましょうと言うようなコメントが必要だと思う。(60代・女性)
- あからさまな偏見に対しては表現をかえる。(30代・男性)
- その時代に合った一般常識的な一定の配慮は必要。(70代・男性)
- 世代を問わずに愛されるキャラクターになるために、差別的なメッセージを発信しない方がいいと思う。(40代・女性)
- すでに過去の作品を放送するときに当時の表現に対する注意を喚起する字幕を表示しているので、その範囲を拡大したり、必要ならR指定にすることで対応するのが良い。(50代・男性)
まとめ
今回は、「ジェンダーバイアス(性的偏見)」についてアンケートを実施しました。
今回話題となった某キャラクター商品など“過去の作品”については、多くの方がジェンダーバイアスに関して配慮する必要がないと感じているようです。
一方で、28.4%の方は過去の作品にも配慮が必要だと「思う」と回答していました。
「あらかじめ注意書きを入れる」「表現を変える」などの対応が必要だと感じている方は少なくないようです。