
遺産相続、事前にやっておくべきだったと後悔したこととは?
以前紹介した『相続について事前に話し合ったことがあるか』の記事では、27.4%が相続について「事前に話し合ったことがある」という結果になりました。
では実際に相続を経験したことがある方は、「事前にやっておくべきだった」と後悔したことはあるのでしょうか。
今回は、日本クレアス税理士法人と共同で、遺産の相続をしたことがある全国の男女1,000人の方々にアンケートを実施しました。
調査手法 | インターネットでのアンケート ※自社運営のアンケートサイト「ボイスノート」を利用して調査を実施 |
調査対象者 | 遺産の相続をしたことがある全国の男女 |
調査期間 | 2022年2月23日~2022年2月25日 | 質問内容 |
質問1:遺産の相続について、「事前にやっておけば良かった」と後悔したことはありますか? 質問2:どのようなことで後悔したか教えてください。 質問3:遺産の相続について、「事前にやっておいて良かったこと」はありますか? 質問4:どのようなことをやっておいて良かったか教えてください。 |
集計対象人数 | 1,000人 |
32.8%が「やっておけば良かった」と後悔したことがある
まずは、遺産の相続について「事前にやっておけば良かった」と後悔したことはあるかについて聞きました。
32.8%の方が、事前にやっておけば良かったと「後悔したことがある」と回答しました。
どのようなことで後悔したのかについても聞いたので、紹介します。
遺言書について
- 公正証書の遺言状を書いてもらっていたので助かったが、株とかのことを聞きそびれていたので、その辺もしっかり聞いておけばよかった。(60代・男性)
- 遺言状の詳細な内容を確認すべきだった。(50代・男性)
- 相続人が数名いる場合は、遺言書などはきちんと公正証書遺言にしておくべき(70代・女性)
- 遺言を書いてもらっておけばよかった。(50代・女性)
- 生前口約束ではなく、正式な遺言書作成をしとけばよかった。(60代・女性)
まず多かったのは、「遺言書」についてでした。
具体的には、「遺言を書いてもらえばよかった」や、「きちんと公正証書遺言にしておくべき」などがありました。
兄弟間での話し合い
- 親の死亡後、遺産の処分について兄弟の了解を得る処置を行えなかったため、今も絶交状態が続いている。(70代・男性)
- 兄弟間の相続について十分な相談ができなかったこと(70代・女性)
- 兄弟ですごくもめて、なかなか相続ができなかった。(20代・男性)
- 相続の配分を兄弟間で話し合ってあれば、もう少し楽に解決できたかもしれない。(70代・男性)
兄弟ですごく揉めてしまったという方や、遺産の処分について兄弟の了解を得なかったために、今も絶交状態が続いているという方もいました。
兄弟がいる場合は、兄弟間で事前にしっかり話し合っておくことも重要なようです。
相続税
- 相続税対策で遺産総額を少なくしておくこと。父が死んだとき相続人を母一人にする失敗をした。子供たちにも分与し母の死後の遺産総額を減らしておくべきだった。(60代・男性)
- 予め少しずつでも相続しておけば相続税を払う必要が無かった(40代・男性)
- 終身保険による免税を利用できるようにしておけば、節税できた。(60代・男性)
- 相続税対策。うまく対応すれば、かなり減額できたらしい。(70代・男性)
相続税について事前に話し合っておけば良かったと後悔している方も少なくないようです。
具体的には、「あらかじめ少しずつでも相続しておけば良かった」などがありました。
遺産の把握
- 何がどこにいくら有るのかがなかなかつかめずに時間を費やされた。(50代・女性)
- 親に財産一覧表を作成してもらえればよかった。(60代・男性)
- 遺産の詳細な内容を聞いておけばよかった(50代・男性)
- どこにどれくらいのお金があるかなどを聞いておくこと。(50代・男性)
「遺産の把握」では、遺産の詳細な内容を聞いておけば良かったという方などがいました。
事前に遺産の内容について把握しておかないと、かなりの時間を費やすことになってしまいそうです。
必要なものの所在
- 通帳や保険の保管場所を聞いとけばよかったと思う。(50代・男性)
- ネット銀行の口座を持っていることは聞いていたが、銀行名やその口座番号等を聞き忘れていたことです。(70代・男性)
- やっぱりネットでの銀行口座のやり取りが把握しづらい。事前に知っておかないとアクセスすら出来ない。(50代・男性)
- 各銀行口座の貯金通帳やカードの有無と場所。口座の有効性の確認。(60代・男性)
- 親の資産の把握や銀行口座の種類、銀行印の把握(50代・男性)
- 生命保険などの契約書の保管場所を聞いておけば良かった。(70代・男性)
必要な書類や通帳、印鑑などの所在も事前に確認しておかないと、思わぬところで苦労することになってしまいそうですね。
26.3%が、「事前にやっておいて良かったこと」がある
続いて、遺産の相続について、「事前にやっておいて良かったこと」があるかについて聞きました。
26.3%の方が、事前にやっておいて良かったことがあるようです。
どのようなことを事前にやっておいて良かったと思うかについても聞きました。
事前にやっておいて良かったこと
- 生前贈与をしてもらっていたが、これについては相続税がかからなかったので、大幅に節税できたと思う。(50代・男性)
- 財産があるなしにかかわらず遺言書を書いておくこと。(70代・男性)
- 遺言書を書いてもらっていた。兄弟と相続について話し合っていた。(70代・男性)
- 公正証書遺言があったので遺産分割がわりとスムーズに進んだ。(50代・女性)
- 親との相談で書類関係・預金関係のリストを作ることが出来たこと。(70代・男性)
- 遺品になる品物の、整理整頓しておいて、何がどこにあるのかわかると分かったこと。(70代・男性)
- 親が常日頃から「兄弟は平等に」と言ってくれていたので、相続の際もその意思を大切に守りたいと思えた。自分でやっておいたこととは別だが、その親の教えを聞いておいて本当に良かった。(50代・女性)
まとめ
今回は「遺産相続について事前にやっておくべきだったと後悔したこと」についての調査結果を紹介し、32.8%の方が「やっておけば良かったと後悔したことがある」と回答しました。
遺言書の作成や、兄弟間での話し合い、必要なものの所在確認など、事前にやっておいた方が良いことはさまざまあるようです。
また、「事前にやっておいて良かったこと」の回答でも、「遺言書の作成」を多くの方が挙げられていました。
特に「公正証書遺言」を準備しておくことで、遺産相続がスムーズに進んだという方も。
出来そうなことはなるべく事前に準備しておくことで、いざという時に困らずに済むかもしれませんね。