入れ歯を使っている方の85.6%が、入れ歯を使用していて不便だと感じたことが「ある」

災害時の身元確認や取り違え防止のため、「入れ歯」へ名前を入れる取り組みも

日本は、65歳以上の人口が全人口の21%を占める社会、いわゆる「超高齢社会」に突入しています。
「超高齢社会」で心配されていることの一つが、医療現場への負担の増加です。

大手化学メーカーの三井化学は、医療現場の職人不足問題を解決するために、3Dプリンターで入れ歯を設計できるソフトを販売しています。
4月末におこなわれたサブカルチャーイベント「ニコニコ超会議2022」で、実際にプラスチック製の「入れ歯」を展示して来場者の注目を集めました。

義歯製造・販売をおこなう和田精密歯研では、災害時の身元特定の負担軽減のため「入れ歯」に氏名などの情報が書かれたプレートを付ける取り組みを始めたそうです。

今回は、事前調査で「現在、入れ歯を使用している」と回答した全国の男女計340名を対象に「入れ歯に関するアンケート」を実施しました。

「入れ歯に関するアンケート」調査概要
調査手法 インターネットでのアンケート
※自社運営のアンケートサイト「ボイスノート」を利用して調査を実施
調査対象者 事前調査で「現在、入れ歯を使用している」と回答した全国の男女
調査期間 2022年4月22日~5月11日
質問内容 質問1:現在、「入れ歯」を使用していますか?
質問2:「入れ歯」を使用していて不便だと感じたことはありますか?
質問3:具体的に不便だと感じたことを教えてください。
質問4:「入れ歯」の手入れでおこなっていることをすべて選んでください。[複数回答可]  
質問5:具体的な「入れ歯」の手入れについて教えてください。
質問6:「入れ歯」に氏名などが書かれたプレートを付けるサービスを利用してみたいですか?
質問7:回答の理由を教えてください。
質問8:利用のきっかけを教えてください。
集計対象人数 340名

※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合があります。

「入れ歯」を使用していて不便だと感じたことは?

初めに、「入れ歯」を使用していて不便だと感じたことがあるか聞きました。

85.6%の方が不便だと感じたことが「ある」ようです。

不便だと感じたことを具体的に聞いたので、回答の一部を紹介します。

「入れ歯を使用していて不便だと感じたこと」回答

  • 食べ物が挟まり掃除が大変。(60代・女性)
  • せんべいなどの屑が歯茎との間に挟まって痛い。(70代・女性)
  • お餅や飴が怖くて食べられない。(50代・男性)
  • かみ合わせが良くなく、物をかむと歯茎が痛い。(70代・男性)
  • 直ぐに、かみ合わなくなる。(80代・男性)
  • 入れ歯安定剤を使わないと安定できない。安定剤が1日もたない。(50代・男性)
  • 粘着質のある食べ物の時は気をつけないと外れそうになる。(70代・女性)
  • 食べ物の種類によってかみ切れないことがある。(70代・男性)
  • 時間がたつと外れる、ずれていたい。(70代・男性)
  • しゃべっている時に外れそうになる。(60代・男性)
  • 歌う時外れやすい。(70代・女性)
  • 長く使用しているとゆるくなる。(70代・男性)
  • 舌に違和感がある。(70代・男性)
  • 食べ物の噛み応えに実感がわかない。(60代・男性)
  • 異物が口の中にあるので食べ物を食べる時は不快に感じる。(60代・女性)
  • 会社で昼食後、外して洗えないから。(60代・女性)
  • 病院でCTなどとる時、外さなければならない。(90代・女性)
  • はずして寝ている間に地震などの災害が起きたら困る。(60代・女性)
  • 話をするのによく話せない、早く話せない。(80代・男性)
  • メンテナンス修理が厄介。(70代・男性)
  • 歯磨き時に外して洗わなければならない。(70代・男性)
  • 壊れやすいところ。(50代・男性)

続いて、複数回答可で「入れ歯」のお手入れ方法を聞きました。

57.1%の方が「寝るときに入れ歯洗浄剤に入れて保管する」ようです。
「食後に入れ歯を磨く」や「就寝前に入れ歯を磨く」という方も4割を超えました。

「その他」と回答した方に、具体的なお手入れ方法を聞いたので回答の一部を紹介します。

「その他のお手入れ方法」回答

  • 朝食と昼食の間に洗浄する。(50代・男性)
  • 食後ではないが、時々入れ歯洗浄剤で洗浄する。(70代・男性)
  • 夜間も入れ歯をしたままにするので、夜間ではなく定期的(寝る前数分)に入れ歯洗浄剤で洗浄する。(50代・男性)
  • 朝の洗顔時に行う。(90代・男性)

「入れ歯」への名入れサービス、50.9%が「利用したくない」

災害時の身元特定や、徘徊した方を保護した際の身元確認に役立てるため、歯科医師会や歯科技工士会では「入れ歯」への名入れ(義歯刻印)の普及活動をおこなっています。

名入れの方法は歯科医院によってさまざまですが、今回は「入れ歯」に氏名などが書かれたプレートを付けるサービスについて利用してみたいか聞きました。

約半数の方が「利用したくない」そうです。

「利用してみたい」「どちらともいえない」と回答した方に理由を聞いたので、一部を紹介します。

「利用してみたい」回答理由

  • 身元確認が簡単にできるから。(60代・男性)
  • 意思疎通がままならない時に非常に有効と思うから。(70代・男性)
  • 何かで役に立つかもしれない。(70代・女性)
  • 入れ歯で最も不安なのは、外している夜間に地震があった場合、確実に持って避難することができるか、名前が入っていれば、後日発見されたときに自分のモノを確認することが容易です。(70代・男性)
  • 気兼ねなく外せるから。(40代・男性)
  • 便利そうだから。(60代・女性)

「どちらともいえない」回答

  • 行方不明になっても、他の方法で本人確認が出来るから。(70代・男性)
  • どんなものかイメージが出来ないため。(60代・男性)
  • 特に理由は無いが、そこまでの必要を感じてないから。(70代・女性)
  • 有害な成分とかが溶け出さないか心配。(50代・男性)
  • プレートを取り付けることで、フィット感が損なわれるのではないかと危惧しているため。(60代・男性)
  • 入れ歯に氏名を記入するのはなんか変な感じがする。(50代・男性)
  • 入れ歯の使用をあまり知られたくない気持ちもある。(60代・女性)
  • 名前が付いていると便利かもしれないが、紛失して誰かに見つけてもらった時は恥ずかしい。(50代・女性)
  • 費用がかかるなら別に要らない。(50代・男性)
  • どうせ長くは使えないので、紛失すれば作り直せばよい。(70代・男性)

「すでに利用している」と回答した6名の方に、利用のきっかけを聞いたので紹介します。

「利用のきっかけ」回答

  • 家族に聞いたから。(40代・男性)
  • 何となく。(60代・男性)
  • メジャーだから。(40代・男性)
  • 他の人のものと間違える。(60代・男性)
  • 歯科医師の薦め。(70代・男性)
  • 病院で薦められた。(70代・男性)

まとめ

今回は、事前調査で「現在、入れ歯を使用している」と回答した方に、入れ歯についてアンケートをおこないました。

85.6%の方が、入れ歯を使用していて不便だと感じたことが「ある」そうです。
具体的には「固いものや粘度の高いものが食べにくい」や「食べかすがはさまる」といった食事に関することが多く挙がりました。

入れ歯に氏名などが書かれたプレートを付けるサービスについては、「利用したくない」と回答した方が半数を超えました。
一方で、「すでに利用している」方も6名いました。

入れ歯への名入れは、自費診療のため歯科医院によって費用は違いますが、数千円程度でできるようです。

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