後悔しない!外壁の色を選ぶときのポイントと注意点
住宅を建てるときは間取りに目が行きがちですが、実は住宅の印象を決定づける一番の要素は外壁なのです。大きな資金の支払いと引き換えに手に入れる住宅ですから、長期間にわたって「お気に入り」でいられるようにしたいものですよね。そこで今回の記事では、後悔しない外壁の色を選ぶときのポイントや注意点を解説するため、参考にしてください。
近隣の家や街並みに馴染むか
外壁塗装の色を選ぶときに大切なポイントは、近隣の家や街並みに馴染むかどうかでしょう。現代は多様化の時代です。完全ではありませんが、さまざまな価値観が認められる社会になりました。
住宅も同様であり、街中にさまざまなコンセプトの住宅が散見されるようになったのです。気に入る住宅を完成させるためにも、好きなものを積極的に採用することは重要だといえるでしょう。しかし周りを気にせず、好みだけを追求することは、不要なトラブルに発展する可能性があります。
景観法(景観条例)の広がり
平成16年に景観法が交付されました。この背景には、日本の高度成長期以降、地域全体の調和や伝統を軽視した建築物の乱立により、街並みや自然景観の特色が失われていった状況と、住民の景観がもつ価値への意識の高まりがあったのです。その結果、強制力をともなう法律による規制が必要とされました。ありとあらゆる建築物に規制があるわけではありませんが、調和の取れた街並みを求める声が高まっていることは無視できません。
調和を無視した建物デザインによる弊害
街並みとの調和を無視した住宅を建築した場合の弊害について考えてみましょう。
1.近隣住民との人間関係の悪化
実際に個性的な住宅による景観への影響を争って裁判が起きています。当事者同士が近くに住んでいるため、どちらが勝ってもわだかまりが残りそうです。
2.家族への影響
互いを信頼し合っている家族でも、全員が同じ感性とは限りません。強い個性の住宅は、ある人にとっては魅力的でも、別の人にとってはそうでないこともあります。また周辺と調和が取れていないことで目立つため、年頃の子どもなどがいる家庭では注意が必要です。
3.後戻りが大変
目立つことに疲れてしまった結果、外壁の色彩を変えたくなってしまうかもしれません。外壁を塗りなおすには、
・足場の設置
・養生(塗らないところの保護)
・現在の塗装の剥離
・新たな塗装工事
を行うため、かなりの出費を伴います。
このため外壁のデザインについては、自分の好みの尊重も重要ですが、街並みとの調和にも意識を働かせることも大切なこととなります。
外壁塗装の色の印象とは?
色による印象の違い
色には、見る人に特定の印象を植え付けてしまう力があります。あまりにインパクトの強い色では、近所の人に不要な圧迫感を与えてしまうことがあるでしょう。よい印象を持ってもらうための、色選びのポイントを説明いたします。
おすすめの色
木や葉など、自然に存在する色は周囲に溶け込みやすいようです。また、自然の色を引き立てる色合いも相性がよいとされています。色相関などを参考に、ベースとなる色を検討してみましょう。
1.街並みと調和する親しみやすい色
自然の色でなくとも、建設予定地の周辺には親しみやすい色のヒントがあります。色合いに迷った場合は、街並みの景色を意識しながら散歩をしてみてください。よりよいアイディアが浮かぶかもしれません。
2.汚れやキズが目立ちにくい色
建てたときはキレイな色でも、長年の排気ガスや雨に含まれる埃、湿気によるコケなどによって、外壁は汚れていきます。汚れが目立つと近隣住民に不快感を与えてしまうことがあるので、汚れが目立ちにくい色を選ぶことでリスクを軽減できるのです。一般的には淡すぎる色や濃い色ほど、汚れや傷が目立ちやすいといわれています。
外壁の色を選ぶときの注意点
なるべく実際に施工された外壁の色を見て決める
建築士やメーカーの担当者との打合せでは、色相関のような色見本やサンプルを使用するケースが多いでしょう。しかしサンプルだけを参考にして決めてしまうと、完成した時のイメージと違って見えることがあります。その理由について説明しましょう。
1.サンプルを見る環境
同じサンプルでも、電球色や蛍光色などの明かりの種類で見え方が変わります。さらに太陽光の下で見ても違って見えるのです。なるべくサンプルは、太陽の下で見るようにしましょう。
2.大きさによる錯覚(色の面積効果)
色は、塗布する面積が大きくなるほど彩度と明度が上がって見えます。このため、サンプルの大きさではちょうどよく感じても、実際に外壁に塗装した際には、薄く見えるなどの感想を持つ人が多いようです。失敗しないためには、なるべく候補の色の施工例を見て判断してください。
外壁塗装は色により印象は変わります。長い間気に入って暮らせるマイホームの実現のためにも、確認してから決めてください。とはいえ色は、万が一失敗してもやり直すことができる部分です。慎重に、楽しく家づくりを行いましょう。